ここ数年、米ツアーのトッププレーヤーに、43インチ未満の短いドライバーを使用する選手が散見されるようになっていたが、今年4月に、フジクラが「スピーダーSLK」という短尺専用シャフトを発売したことで、俄然短尺ドライバーの注目度が高まっている。この短尺ドライバーは我々アマチュアにも使えるギアなのか?

ミート率を上げることで飛距離をかせぐ短尺ドライバー

ゴルフクラブは、長さを長くすればするほど遠心力が増してヘッドスピードを上げやすくなるが、一方で長くてボールに当てにくくなることでミート率が下がるという弊害がある。そのためドライバーの長さというのは、ミート率を維持できる範囲内でいかに長くしてヘッドスピードを稼ぐかという発想で決定されていると言えるだろう。

実際、パーシモン時代のドライバーは42~43インチ前後が標準だったが、ヘッドがチタン化しヘッドサイズが460㏄が標準となった2005~2008年ごろは、45~45.5インチが標準となっていた。その後ヘッドの大慣性モーメント化、スウィートエリアの広範囲化などミスヒットへの許容性が高まっていくとともに、軽量でも高性能なシャフトが登場。

クラブを長く軽くすることによるヘッドスピードアップのメリットが、ミート率低下のデメリットを上回れるようになったことで、ドライバーはさらに長尺化の道を歩んでいく。

画像: 新しく発売されるプロギアの「egg5500」(左)は45.25インチ。さらに短尺な「egg5500 impact」(右)は44.25インチだ

新しく発売されるプロギアの「egg5500」(左)は45.25インチ。さらに短尺な「egg5500 impact」(右)は44.25インチだ

そして現在では、45.5~46インチ、総重量300g未満くらいのものがアベレージゴルファー向けのドライバーの中心的なスペックとなっている。そんな潮流のなかで「短尺」という発想が生まれたのは、この「標準的なスペック」が、必ずしもすべてのゴルファーにとって振りやすく結果が出るものではないからだとクラブフィッターの鹿又芳典氏は言う。

「45インチ前後の“短め”のクラブが振りやすく、長さによるヘッドスピードアップよりも、短いことでミート率を上げたほうが曲げずに飛ばせて結果がいいというゴルファーも一定数存在します。短尺という新機軸は、そういったゴルファーの声をくみ取ったものでしょうね」(鹿又氏)

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ツアーワールドXP-1、egg5500インパクトも“短め”

「スピーダーSLK」だけでなく、先日ホンマが発表したドライバー「ツアーワールドXP-1」は45.25インチで「短尺」と称し、ミート率を高めることで飛距離アップを目指す。また、プロギア「egg」シリーズのニューモデル「egg5500」も45.25インチで、「impact」という44.25インチの短尺モデルも同時発売される。

「こういった傾向は、現在の標準的な長さのドライバーが振りにくいという人にとって選択肢が増えるので、とてもいいことだと思います。プレーヤーも、自分のスウィングタイプやプレースタイルに合ったものを選ぶことが大事です」(鹿又氏)

鹿又氏によれば、長尺が大きなスウィングアークで一定のテンポで振り切るスウィングタイプの人に合いやすいのに対し、短尺はコンパクトめのトップからインパクトエリアを直線的に動かすタイプのゴルファーに合いやすいと分析する。

画像: アマチュアが使うドライバーの標準が45.5~46インチに比べ、ホンマのXP-1は45.25インチと短尺化されている

アマチュアが使うドライバーの標準が45.5~46インチに比べ、ホンマのXP-1は45.25インチと短尺化されている

「大事なのは自分のスウィングとの適正。“スウィング”よりも“ヒット”のイメージだったり、切り返しのテンポが速い人は、短めのドライバーのほうがタイミングが合いやすくミート率も上がって飛距離が出るということはあると思います。イマドキのドライバーを『どこか振りにくい』『ちょっと前のドライバーのほうが気持ちよく振り切れた』と感じている人は、試してみる価値はあると思います」(鹿又氏)

ではドライバーを短尺化したいと思ったらどうすればいいのか。

「まずは市販モデルで短めのシャフトが入っているモデルを試してみてください。今のドライバーとヘッドが違っても、振り心地の差は感じられるはずです。リシャフトする場合は、『スピーダーSLK』のような短尺用シャフトを使うのがいちばんシンプル。既存のクラブを短くしようとする場合は、リスクが高いので注意してください」(鹿又)

とくに現在のドライバーに入っているシャフトのバット(手元)側を切って短くすると、シャフト重量が不足するので、バランスが狂いやすい。

「1インチ短くすれば、スウィングウェートは5~6ポイント軽くなりますが、それを調節するために軽量グリップを装着するのはお勧めできません。できればヘッドの可変ウェートなどを交換してヘッドを重くして使うのがベターです。もうひとつ注意が必要なのがロフト。シャフトのバット側を切ると手元側の剛性感が上がるうえクラブの自体のエネルギーも減るので、ボールが上がりにくくなります。それを補うためにヘッドのカチャカチャ機能などでロフトを増やして使う必要があると思います」(鹿又氏)

長いドライバーの歴史のなかで、おそらく初めて生じた「短尺化」という流れ。実際は「短尺」というよりも「ちょっと前の標準的な長さ」と言ったほうが適切かもしれないが、ドライバーに悩むゴルファーにとっては、試してみる価値はありそうだ。

撮影/小林司

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