40歳を過ぎてからプロテストに合格し、ツアーデビューを果たすなど、プロコーチの枠組みを超えた活動が大きな反響を呼んでいるプロゴルファー・中井学。
そんな中井が自らの波乱万丈のゴルフライフを振り返る連載。第13回は、プロコーチからトーナメントプロへ。

2009年、私はベースボールマガジン社から「スイングイメージは直線」というレッスン本を出版した。よくある100切りレッスン的なものではなく、上級者向けの非常にマニアックなもので、認めていただけるか不安もあったが、それ以降、30冊以上の自著を出版するに至った。皆様のご支持に身が引き締まる。BS11でレッスン番組も始まり、いろいろな場所でお声がけいただく機会も増えた。スーパー閉店間際の安売りで半額のお惣菜をしこたま買い込んでいたときの「握手してください」は顔から火が出るのではないかと思ったが(笑)。

試合に出てはじめてプロと違うんか!?

評価が高まるほど私は不安になっていった。皆さんに有益なレッスンを提供できているのだろうか。本当に私はゴルフというものを理解しているのだろうかと。そんなある日、恩人の訃報を耳にした。F・ジョーブ博士逝去。彼の手術を受けていなければ私はゴルフ界にはいなかっただろう。6ヶ月以上に及んだリハビリの最終日、何かお礼がしたいと申し出た私に、彼はきっぱりとこう言った。「君がPGAツアーで活躍することだよ。その姿をみせてほしい。」私は約束を果たせなかった。指導者として活躍していることに不安と言いながらも、どこか満足していたのかもしれない。訃報は続く。今度は父の兄が亡くなった。私がゴルフを始めてから父とともにラウンドをつき合ってくれた優しい叔父だった。「お前プロになりたいんか?ムリムリ。虫一匹も殺せない学がプロになんかなれっこない」会う度に言われたものだ。その叔父が亡くなる少し前、彼から呼び出された。私の活躍を喜んでくれてはいたが、「プロじゃないよな」と。「試合に出てはじめてプロと違うんか」「あきらめんなよ」それが最後だった。

ジョーブさん、おっちゃん、見ててな

2015年日本プロゴルフ協会 資格認定プロテストを13年ぶりに再受験した。プレ予選から1次、2次、最終と予選を勝ち上がり、結果は2位タイで合格。トップは時松隆光選手、同じ2位タイに伊藤誠道選手とツアーで活躍する選手達と名を連ねる事が出来た。そして様々なターニングポイントを経てきた東建ホームメイトカップでトーナメントプロとしてデビュー。
初日の1番ホール。「ジョーブさん、おっちゃん、見ててな」空に一礼して放ったティーショットはフェアウエイど真ん中に。

私のトーナメントプロとしてのキャリアはこうして始まった。(文/中井 学)

画像: 中井学(なかい・がく)1972年4月14日生まれ。高校卒業後に渡米し、苦学しつつゴルフの技術を磨き、見識を深めて帰国。ツアープロコーチとして長く活動した後、2015年にプロテスト合格 2016年、東建ホームメイトカップでレギュラーツアーデビューを果たす

中井学(なかい・がく)1972年4月14日生まれ。高校卒業後に渡米し、苦学しつつゴルフの技術を磨き、見識を深めて帰国。ツアープロコーチとして長く活動した後、2015年にプロテスト合格
2016年、東建ホームメイトカップでレギュラーツアーデビューを果たす

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