丘陵地のゆるやかな稜線を自然に活かす井上設計マジック、“井上ライン”を具現化した北コース。USLPGAツアーも開催し海外にもアピール。

西武グループの壮大な構想からスタート

瀬田ゴルフコース北コースといえば、名匠・井上誠一を抜きには語れない。

今から44年前の1974年(昭和49年)、日本経済はオイル危機を乗り越えて、新生日本の経済成長へと向かう時期であった。時を同じくして、西武グループでは、堤義明会長の号令一下、日本の内外に約50のゴルフコースを建設するという壮大な構想がスタートした。

そのために、コース設計家は山岳や激しい丘陵の地形には、日本人設計家、地形のゆるやかなところは外国人設計家をという基本方針が打ち出された。その検討の結果、日本人には第一人者、井上誠一が、外国人ではロバート・トレント・ジョーンズJrが選出された。

具体的にいえば、ジョーンズには「軽井沢72ゴルフ」と「北海道カントリークラブ プリンスコース」、井上には「大原・御宿ゴルフコース」と、この「瀬田ゴルフコース北コース」があてがわれた。

画像: 西武グループの壮大な構想からスタート

「ゴーイングアウト、カミングイン」が生まれた背景

井上は「それだけの数のコースを造るなら、社内にコース建設の専門家を育てる必要があるだろう。教育は私がやってもいい。ただし、コース設計、設計の助手から身の回りの雑用までやれる秘書代わりの人を望む。そして可能な限り、ゴルフに無知な人が欲しい」と要望。西武側が選んだのは大学で土木工学を学び、入社2年目の24歳、嶋村唯史だった。この時、井上66歳。

井上と嶋村は瀬田の地形をじっくり観察するところから始まった。すでに瀬田は東コース(これも井上設計)、西コースが出来上がっていた。北コースを造成する地形は悪くない。ただしアウト、インをハウス前に並べるレイアウトは無理と井上は判断。つまり“行きっぱなし”の18ホールとならざるを得なかった。

しかし結果的にはこれが北コースをして独特のコースにした。本来は英国のリンクスと同じ「ゴーイングアウト、カミングイン」がゴルフコースの原点だからである。これを利点として、北コースは今やVIPコース、究極の接待コースとして差別化されている。クラブハウスも東、西とは入口、フロント、ロッカー、風呂、トイレ、インテリアも別にして、ホスピタリティー感が漂う。

画像: 品格漂うクラブハウス

品格漂うクラブハウス

画像: ホスピタリティー感が漂う落ち着いた雰囲気のフロント

ホスピタリティー感が漂う落ち着いた雰囲気のフロント

井上の設計思想は「品のいいコース」に仕上げることだ。コース設計にはゴルフのゲームとしての要素、自然の地形、ロケーションを活かした美しさが必要。しかし究極のいいコースとは、“品のよさ”という境地にたどり着く。井上の弟子、嶋村はその言葉を信条としている。

琵琶湖、比叡山を正面に望み、石山寺もすぐ近くにあって、この北を品あるコースにする演出をしている。

井上の設計思想が凝縮されている18番ホール

井上の設計には丘陵地のゆるやかなうねりを活かす“井上ライン”が特徴で、地形に溶け込んだ自然なラインは女性的柔らかさに充ちている。これが“品”の源泉といわれる由縁だろう。この地は土壌が肥沃でなく、コースに点在する黒松も細くて低いのだが、それがまた井上ラインを引き立たせる要素になっているのだから、皮肉な話だ。

嶋村はいう。「井上先生の設計思想が端的に現れているのは、北の中では18番でしょうね。ティから2打目地点に来た時に、狭い空間からハウスまで一気に広がる景観、そしてフエアウェイの井上ラインの稜線、プレーヤーにまた来いよと囁いているようです」。他にも池に絡ませた3、5、6、7番が井上設計の特徴が表れているという。

画像: ”井上ライン”を見事に活かしたコースレイアウト

”井上ライン”を見事に活かしたコースレイアウト

北コースではこれまで米国女子ツアー公式戦が10回行われている。アニカ・ソレンスタムが5連覇のうち同コースで4回開催。真の実力者を選び出す舞台なのかも知れない。今年もTOTOジャパンクラシック(11月2日~4日)が開催され、世界の女子プロが覇を競う。

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