40歳を過ぎてからプロテストに合格し、ツアーデビューを果たすなど、プロコーチの枠組みを超えた活動が大きな反響を呼んでいるプロゴルファー・中井学。
そんな中井が自らの波乱万丈のゴルフライフを振り返る連載。第7回は、ひじの怪我からゴルフが絶好調に。しかしながらまたもや波乱で「I shall return」。

左肘の手術、右肘の骨折から復活した私は快進撃を続けていた。大学の代表にもなり、南カルフォルニアの大学選手権に進出。大学からも最も成長した選手の一人として表彰も受けた。それも全てはあの「暗黒の一年」があったからだ。

右腕1本でラウンド再開

左肘は手術後6ヶ月以上のリハビリを余儀なくされた。実は傷口が内出血をして破れてしまい、再手術も受けている。出血が止まらない傷口を眺めて「ゴルフどころか人生自体が終わりだよ」とあの時は観念した。でも数日後には「右腕1本でプロになれたら面白いわな」と右手1本打ちで練習を始めた。ポジティブなんかじゃなく、半ばヤケクソだったことを白状しておく。最初は全く球に当たらなかった。球は私を嘲笑うかのようにコロコロと転がっていく。右腕は筋肉痛でパンパン。「この痛み、何とかならないかな」と工夫している中、右腕を身体の正面に固定して、腰の回転だけで打ってみたら痛くない。球も普通に飛んでいく。腕は全く動かしていない。ただクラブを持っているだけ。私は嬉々として球を打ち続けた。ラウンドも再開した。100を切るのにそう時間はかからなかった。私が自著の中で200ヤード飛ばなくても100は切れます。と断言できたのはこの経験があったからだ。

スウィングの再構築に役立った左手1本打ち

後に左腕が帰ってきた。早々に60台のスコアを連発した。急がば回れか。神様ありがとうと思った矢先に右肘骨折。神様ふざけるな、と思いつつも今度は挫けなかった。「はいはい、次は左腕の番ね」と右腕一本で得た感覚で左手1本打ちを3ヶ月。ゴルフの本質は左腕と言った先人は偉大だとつくづく感じられるほど、ゴルフスイングの再構築に役立った。こうして「腕を振らなきゃゴルフは簡単」を身につけて最高のシーズンを送った私は4年制大学への進学準備を始めた。

あなたのF1(学生)ビザの延長申請が却下されました

そんな私に死刑宣告のような話が舞い込む。「あなたのF1(学生)ビザの延長申請が却下されました」政権が変わって移民法が改正され、審査が一気に厳しくなった。「一年目に落第が多く、マジメに授業を受けてない」とほとんどこじつけのような理由だった。グリーンカード(外国人永住権)の抽選に当たっていなかったので、帰国するしか術がない。友人達は「アメリカ人と結婚しろ!探してきてやる」と言ってくれたが、「毎日アイラブユー、アイニージュー言えないよ」とうそぶくのが精一杯だった。

画像: あなたのF1(学生)ビザの延長申請が却下されました

「I shall return か。マッカーサーもこんな気持ちだったのかな」5年前に見た同じ空の青に見送られて、私は帰国の途についた。
(文/中井 学)

画像: 中井学(なかい・がく)1972年4月14日生まれ。高校卒業後に渡米し、苦学しつつゴルフの技術を磨き、見識を深めて帰国。ツアープロコーチとして長く活動した後、2015年にプロテスト合格。2016年、東建ホームメイトカップでレギュラーツアーデビューを果たす

中井学(なかい・がく)1972年4月14日生まれ。高校卒業後に渡米し、苦学しつつゴルフの技術を磨き、見識を深めて帰国。ツアープロコーチとして長く活動した後、2015年にプロテスト合格。2016年、東建ホームメイトカップでレギュラーツアーデビューを果たす

This article is a sponsored article by
''.