40歳を過ぎてからプロテストに合格し、ツアーデビューを果たすなど、プロコーチの枠組みを超えた活動が大きな反響を呼んでいるプロゴルファー・中井学。
そんな中井が自らの波乱万丈のゴルフライフを振り返る連載。第4回は、日本では経験しない恐ろしい出来事と「人種差別」の現実に直面する。

不安が現実のものとなった衝撃の出来事

ロサンジェルス国際空港に着いたときの思い出は青と白しかない。英語学校の職員の方が迎えにきていて、学校まで送ってくれたのだが、その方の英語が早口で全く聞き取れず「ンフン、アハン、イヤア」の3段活用で何とか乗り切った。コイツ何もわかってないなと思われていただろうが(笑)。

そのときにずっと目の前に広がっていた雲一つない空の青と、フリーウェイの白。夢を叶える地に来た感慨よりも、緊張と不安で押しつぶされてしまいそうだった。

「とんでもないところに来てしまったかも」そんな根拠のない不安は的中してしまう。それはホームステイ生活を始めてしばらく経ったある日、勉強をそろそろ終えて寝ようとした24時前、パーンという乾いた音とともに、突然恐ろしい勢いで部屋のカーテンが跳ね上がった。「えっ、何 ? ポルターガイスト??」恐る恐るカーテンを開けると、ヒビが入った窓ガラス越しに急発進する車が見えた。しばらく状況が理解できなかったが、窓ガラスのヒビを見て悟った。「ピストルで撃ち込まれた」と。

画像: 不安が現実のものとなった衝撃の出来事

ホストマザーは「この町では15年間殺人事件はないのよ、何故なの?」と動揺をかくさない。通報してすぐパトカーがやってきた。「大丈夫ですか?」の強い第一声からだんだんと警察官の態度が変わってきた。彼らの目の前にいるのは、メキシコ系アメリカ人のホストマザーと日本人留学生。やれやれと言わんばかりに「撃ってきたのは隣町のギャング。メキシカンとアジア人が気に食わなかったのだろう。名刺渡すから、また撃ち込まれたら連絡して」
5分も経たないうちに警察官たちは帰っていった。

警察が来る前は「日本でニュースになったらどうしよう、親に心配されて帰れと言われたらどうしよう」なんて心配もしていたが、動揺は次第に怒りの感情へと変化した。その矛先は、撃ってきたギャングと思しき連中だけではなく、警察官にも向いた。「これが人種差別か」あの時の屈辱感は
25年経った今も忘れられない。

パターの練習に明け暮れた日々

渡米後半年が過ぎ、学業が落ち着いたと判断して、ゴルフを再開することにした。クラブは高くて買えず、ピンのパターとボール3個だけを購入し、近所のパブリックコースでひたすらパター練習だけを繰り返した。パッティンググリーンの使用は無料だったから、休みの日は8時間くらいグリーン上にいた。とにかく楽しかった。よく顔をあわせた地元のキッズたちに聞かれたな。

「お兄ちゃん、今日もラウンドしないの?」って(笑)。
(文/中井 学)

画像: 中井学(なかい・がく)1972年4月14日生まれ。高校卒業後に渡米し、苦学しつつゴルフの技術を磨き、見識を深めて帰国。ツアープロコーチとして長く活動した後、2015年にプロテスト合格。2016年、東建ホームメイトカップでレギュラーツアーデビューを果たす

中井学(なかい・がく)1972年4月14日生まれ。高校卒業後に渡米し、苦学しつつゴルフの技術を磨き、見識を深めて帰国。ツアープロコーチとして長く活動した後、2015年にプロテスト合格。2016年、東建ホームメイトカップでレギュラーツアーデビューを果たす

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